理学療法士・波田野征美の『波田ログ!!』

理学療法士の波田野がセラピストとしてトレーナーとしての日々

「たったひとつの真実」なんてものは存在しない。

どうも、Oriental Physio Academy代表の波田野です。
http://oriental-physio-academy.jimdo.com/




昨日は石川県金沢市にてセミナーを開催させていただきました。


その詳細はまた後日にして




今日はちょっとした小話。




石川セミナーの帰路。

埼玉までは新幹線で

4時間ほどかかったりするわけですが



その新幹線の中で


湊かなえ先生の

「白ゆき姫殺人事件」

を読んでいました。

白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)/集英社

¥630
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湊先生といえば「告白」「夜行観覧車」「北のカナリア」「少女」などの傑作ミステリーを生み出し

今最も人気のあるミステリー作家でしょう。



そんな湊先生の作品で今度映画化されるのが

この「白ゆき姫殺人事件」




もちろん、話の内容は素晴らしい出来でした。





この小説を読んでいた思ったのは・・・



「この世に真実というものは存在しないんだな。」

ということ。





この物語は一人の超美人OL三木典子が殺害されるところから始まります。

容疑者は事件が起きた夜が行方をくらましている

同僚OLの城野美姫。


そして、その事件を赤星という男が取材をしていくのですが

語り部となるのは、それぞれの取材された人間たち。

その人間たち容疑者・城野美姫と被害者・三木典子について語っていき

それを元に赤星が雑誌の記事にしていくのですが


この本の読ませ方で面白いのは

各章の最後に<設定資料〇〇ページ>とあり

そのページをめくると

それまでの取材を元にした記事が実際の雑誌のように書かれている。

そして、「マンマロー」というSNSでの赤星の取材ネタに対するつぶやきがあり

そのSNSでのほかの人間たちとのやり取りもかかれており、そこにも事件のヒントが出てきたり。



で、驚くのは記事の内容が

取材での話をまとめたものではるが、どこかで歪曲させたような

読む人によってはまったく違う印象を与える記事であるということ。


現実の世界でもそういうことがあることだと思うのですが

小説の形とはいえ、本編での取材と実際に出てくる記事を同時に見るということで

妙な戦慄を覚えますね。






あとは、肝心の

「真実はどこにも存在しない」というところですが



前述のように

色々な人間が容疑者城野・と被害者・三木のことを話すわけですが



城野のことを悪魔のように話す人間もいれば

天使のように話す人間もいる。


同じように三木のことを天使のように話す人間もいれば

悪魔のように話す人間もいる。





誰が本当のことを言っていて


誰が嘘を言っているのか


そういうことではなく


どれもが真実であると同時に

どれも真実でもない。




その人にとっては紛れもない真実ではあるが

他の人にとっては真実ではない。




最終章では容疑者である城野が逃亡先で自分のことを書かれた雑誌記事やニュースに驚き

ホテルに置かれている便箋に

過去のことから事件のことまで書く。



城野から語られる真実は

それまでの登場人物が語ってきたことと

一部では真実ではあるが

一部ではまったく真実ではない。




そして、城野は被害者である三木典子についても語るのだが


恐らくそれすらも


城野にとっての真実であり

他の人間にとっては真実ではないものなのだろう。






世の中とはそういうものなのだろう。



「たったひとつの真実なんてものは存在しない」




みんなが「自分にとって都合の良い真実の中で生きている」に過ぎないのだ。


そして、その真実は決して他人と交わることはない。





その真実のすれ違いが悲しい事件を生む。



しかし、そこに悪意はない。



各々が各々の真実を語るだけなのだから。




しかし、結局はそれこそが悪意そのものなのかもしれない。








セラピスト業界・・・に限りませんが





「あの団体はインチキだ。」

「あいつは金儲けのことしか考えてない」


「文句を言っているあのベテランも結局は全然ヘボだったよ。」


そういうような話をよく耳にします。


まぁ、私自身が言われたりする立場でもあるし


場合によっては言う立場になったりもします。





でも、それも結局は


お互いにとっての真実の中で話しているだけで



どれも真実であると同時に

やはり、真実ではない。





どこかのセミナーの内容が

何の役にも立たなかった人もいるだろうし

それと同時に役に立った人もいるだろう。




それだけの話。




にもかかわらず、自分の気に入らない団体の悪口を言う人に出会ったら

それが世界すべての意見であるように

「あそこの団体は良くないって言われてるぞ。」って発言する。




そういう人のセミナーだって、同じように「全然ダメだったよ。」と言われているのにね。





それだけの話・・・


なんだけど



とても恐ろしく、悲しいことなんだなと

小説として形にされることで強く思いました。



では。